2025年5月23日 | MDMとは? 3つの役割や注意点、効果を引き出すためのポイントを解説 |
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リモートワークやフレックス勤務が当たり前になりつつある中で、スマートフォン(スマホ)は業務を進めるのに不可欠なツールとなっています。しかし、スマホの端末に入っているデータには取引先とのやり取りや個人情報が含まれており、重要な情報資産が漏えいするリスクもあります。このようなリスクを防ぐ手段の一つが、MDMの導入です。
本記事では、MDMの役割や導入時の注意点、導入を成功させるポイントなどを解説します。仕事でスマホを使う方や、企業担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
MDMとは複数の端末をまとめて管理するためのツール

MDMとは、スマホやタブレットなどの複数の端末をまとめて管理できるツールです。端末管理の手間を減らしたり、情報漏えいなどのリスクを防止したりするために導入されます。
現在はテレワークやフレックス勤務が主流となり、従業員がさまざまな場所から業務を行うようになりました。働き方の多様化は進みましたが、それと同時に業務用デバイスのセキュリティ管理がいっそう重要となっています。
MDMを利用すれば、スマホのデータや利用範囲を管理者側で柔軟にコントロールできるため、さまざまな情報脅威から企業のデータを守ることができます。
MDMが果たす3つの役割
MDMの役割は、主に以下の3つです。
- 業務用端末をまとめて管理する
- 万が一のトラブルによる情報漏えいを防ぐ
- 業務に必要なアプリケーションを管理・制限する
業務用端末をまとめて管理する
MDMは、業務用のスマホやタブレットなどをまとめて管理することができます。対象となるデバイスの利用状況や設定を一括で確認・変更でき、どの端末も同じ条件で利用可能になります。
例えば、業務用スマホ10台を導入する場合、MDMを使えば、一括でVPN設定やクライアント証明が可能です。
MDMを活用することで、全ての端末に対して短時間で一貫したセキュリティポリシーを適用でき、業務の効率化につながります。
万が一のトラブルによる情報漏えいを防ぐ
MDMは、紛失や盗難などが原因の情報漏えいを防ぐことができます。
例えばスマホを紛失してしまった場合に、MDMを導入していれば位置情報を検知する、遠隔操作で端末をロックするといったことが可能です。また、スマホを拾った人物がパスワード入力に数回失敗した際に、データを自動的に削除する機能が搭載されていることもあります。
さらに、OSの更新やウイルス対策も一元的に管理できるため、平常時からセキュリティを維持しやすくなるでしょう。
業務に必要なアプリケーションを管理・制限する
MDMは、業務で使用するアプリケーション(アプリ)の配布や利用制限を一括で行えます。具体的な機能は、以下の通りです。
- 業務に必要なアプリを一括で配布する
- 従業員のアプリ使用状況を把握する
管理側で情報漏えいにつながる恐れのあるアプリや、業務に必要のないアプリを削除する
業務に不要な機能やアプリをあらかじめ制限できれば、私的利用を起点とした不正アクセスのリスクを抑えられます。
情報漏えいは、外部からの攻撃の他、従業員による内部不正や不注意によって発生するケースもあります。MDMでアプリを一括管理することで、企業の大切な情報資産を守れるようになるのです。
MDMで業務用スマホを管理する際の注意点
MDMを導入すれば、管理業務の効率化やセキュリティ対策の強化を図れますが、その一方で注意すべき点もあります。主な注意点は、以下の通りです。
- 導入コストがかかる
- インターネット環境下での管理が前提となる
- 過度な制限で利便性が低下するリスクがある
導入コストがかかる
MDMのシステムを利用するには、一般的に導入コストがかかります。
管理ツールの利用料金だけではなく、端末ごとの登録料金やセキュリティ対策のための費用など、多くのコストを確保しなければなりません。導入するスマホの数が多い場合は特に管理や維持に手間がかかるため、コストが高額になる可能性があります。
また、自社での運用が難しい場合、外部のベンダーにサポートを依頼するケースもあります。そのためMDMを導入する際は、月ごとの管理費用の他に、コンサルティングなどのオプション機能にかかる費用を考慮することが大切です。
予算確保に難航する場合は、全ての機能を一度にそろえようとせず、必要な機能から優先的に導入し、段階的に拡張していく方法もあります。
インターネット環境下での管理が前提となる
MDMは、インターネットに接続されている状態での管理が前提です。そのため、電波が届きにくい屋外や地下での利用、通信制限がかかっている端末などでは、管理機能が正常に動作しない可能性があります。
さらに、インターネットに接続されていないと、盗難や紛失時に迅速に対処できない場合がある点にも注意しましょう。MDMには、万が一のトラブル時に画面をロックするリモートロック機能が備わっています。しかし、インターネット環境がなければ機能が正常に動作せず、盗難や紛失時の対応が遅くなる可能性があります。
通信環境が限られる場所でスマホを使用する場合、トラブル時にどう対応するべきかルールを決めて社内で共有するようにしましょう。
過度な制限で利便性が低下するリスクがある
MDMによる過度な制限は、端末の利便性低下につながる可能性があります。
MDMは、使用するアプリやWebサイトの閲覧を制御できる便利なツールです。しかし、必要以上に制限をかけると業務効率が低下し、従業員が「使いにくい」と感じる可能性があります。
なお、利便性の低下は、従業員の端末の私的利用を招く原因にもなります。私的利用が増えれば、セキュリティ対策や情報統制が十分に取れなくなる可能性があるため、必要以上に制限するのは避けた方がよいでしょう。
業務に支障が出ない範囲で端末を設定したり、従業員にMDMがどういったものなのか説明したりしながら、運用体制を整えていくのがポイントです。
MDMで業務用スマホを一元管理する際のポイント

MDMで業務用スマホを一元管理する際は、適切なMDMツールを選ぶ必要があります。スムーズな運用を実現するためにも、以下のポイントを意識して選定しましょう。
- 必要な機能が搭載されているかを確認する
- 運用に適したサービス形態を選ぶ
- 対応OSを確認する
- サポートが手厚いMDMを選ぶ
必要な機能が搭載されているかを確認する
MDMを導入する際は、業務で求められる機能が備わっているかを確認しましょう。
MDMは、製品ごとに搭載されている機能や得意とする領域が異なります。例えば、紛失や盗難時に活用できるリモートロックやデータ削除機能、業務に不要なアプリの使用を制限する機能などが挙げられます。
MDMの導入によって解決したい課題を明確にし、必要な機能を洗い出してから製品を選定しましょう。
運用に適したサービス形態を選ぶ
MDMのサービス形態には、クラウド型とオンプレミス型があります。
クラウド型は、インターネットを通じて場所を問わず端末を管理できるタイプです。導入コストを抑えやすく、台数が増えても柔軟に対応できるため、常に最新の情報を一元的に把握したい企業に向いています。
オンプレミス型は自社のサーバーにMDMを構築し、社内ネットワーク内で端末を管理するタイプです。導入や運用にかかるコストは比較的高めですが、クラウド型よりセキュリティリスクの軽減が期待できます。
対応OSを確認する
機能だけではなく、どのOSに対応しているかも確認しましょう。
一般的にはiOSとAndroidの両方に対応していますが、製品によってはAndroidに対応していない場合もあります。端末の種類が混在している場合は、複数のOSに対応したMDMを選ぶとよいでしょう。
対応状況を把握しておかないと運用時に支障が出る可能性があるため、事前にチェックしておきましょう。
サポートが手厚いMDMを選ぶ
導入後の運用体制がスムーズに整備できるよう、サポート体制が整ったMDMを選びましょう。サポート体制が整っていないと、操作方法が分からなくなったときや想定外の不具合が発生した際に、迅速に問題解決ができない可能性があります。
メールや電話など複数のサポート手段が用意されているか、問い合わせから返答までのスピードが速いかなど、運用面に関わるサポート体制を確認しましょう。
MDMで業務用スマホを効率的に管理しよう
業務用スマートフォンの利用が広がる中、端末ごとの設定やセキュリティ対応を手作業で行うには限界があります。MDMを導入すれば、端末の包括的なセキュリティ対策やアプリ管理などを効率的に行えます。
必要な機能や希望のサービス形態、OSの対応状況などを考慮して、自社に最適なMDMを選びましょう。
自社で端末を調達するのが難しい場合は、ジャパンエモーションの法人向け携帯・スマホレンタルサービスをご利用ください。15年以上の実績を生かし、企業のニーズに適した端末をご提案いたします。導入を悩んでいる、どのモデルを選べば良いか分からない方も、ぜひお気軽にご相談ください。